グラデーション/永井 するみ

こうゆう感じは好きです、owlmanでございます。


読後感がすっきり。
あとを引かないのがいい。


グラデーション

グラデーション


図書館の開架書架を眺めていて選択。


主人公・桂真紀の14歳から23歳までの心情変化を、1〜2歳毎に描いたもの。


別に、特別な何かがあるわけでもない。
ごくありふれた、一人の人生の一部。
「そう、うまく行くかなぁ」って思うようなこともない。
うまく行きそうなことほど、うまく行かない。
たまたまのことが、たまにうまく行ったりする。
彼女自身も、目立つ存在ではない。
描かれる友人の存在感に比べ、真紀はほぼ全部地味。


そんな事がつらつらと描かれていく。


図書館の本なので、帯は付いていないが、
帯の一部が切り取られて、表紙裏に貼り付けてある。


「成長の足取りを丁寧に描いた、等身大の10年間」


というキャッチは、その通り。


自分の知人の誰かを重ねていたか、という問いに否定はしない。
それくらい、ありふれていて、自然な表現。
そして、それがこの作品の良さ。



読了後にプロフィールを眺めた。
著者、永井氏は東京芸大を中退後、北大を卒業されたそう。
作中に出てくる、H美大ってどこ?って思ってたけど、
北海道のHを取ったんやろうか。


永井氏のことはさっぱり知らないが、
もしかしたら、著者自身がモデルなのかもしれない。



永井氏の受賞著書は、推理系が多い様子。
owlmanは、推理系はあまり好まないが、著書には推理系と思えないタイトルもあり、ちょっと他のも読んでみようかと思う。