ごみを資源にする努力

10年前まで住んでいた自治体での話。
話自体は15年以上経ってると思う。


この自治体では、焼却炉のキャパが将来不足することが懸念されていた。
そこで、焼却ごみの総量削減を狙い、実施可能性を探る社会実験として、数ヶ月ほど15分類の収集を一部地区で行ったことがある。まだ、ごみの分類が4分類しかなかった時だった。資源保護、環境対策の波に乗るべく、宣伝も兼ねて打ち出された。
開始前から「家庭で分類する入れ物がない」という反発もあり、各家庭に分類容器まで配られた。


ある日からの慣れない生活に不満を出しつつ、行政も市民もがんばった。
owlman家でも「ゴミ箱行き」ということが1つの作業になることの大変さを学んだ。
しかし、市民の不慣れや、急な負担が大きすぎたのかもしれない。
実験結果は、結局5分類に落ち着いた。


ごみの分別では、10分類程度を成功させている自治体の例は時々紹介されるが、郊外都市が多い。
かの15分類が失敗に終わったのは、もちろん市民意識がそこまで高まっていなかったのが最大の原因だが、都市部では収集日までの家庭での保管場所、という問題もあった。15個とは言わないが、日常的に10個程度の分類容器を狭いベランダに置くことは、ベランダの機能を喪失するに十分だった。


現実に即さなかった無茶なシステムは、混乱とごみ問題の難しさを教訓として残した。
ちなみに、配布された分類容器は「保管容器などで有効利用してください」と行政が言い放ち、放置された。
一度ごみ容器として使用した容器に、ごみ容器以外の使途はない。
結局、別のごみも増やしてしまった。




来月4月で、容器包装リサイクル法が完全施行されて9年目に入る。早いね。


中核規模の自治体の知り合いから、収集後のごみセンターでの選別の話を聞いたが、かなり苦労しているようだった。全員が守ればいいのだが、一部の守れない人(意図する、しないに関わらず)の為に多くの人員と時間を投じて作業している、とのこと。
そうして回収しても、再生資源がダブついているため、資源価値は燃料程度。ダブついているわけだから、回収資源が社会的に吸収しきれてない。


その点、分類を呼びかけても一部市民が守らない事を想定し、選別できる物量でないことから、燃やせるものは燃やすこととして高性能の焼却炉に改修した大都市の考えは、現実的に正しい、はずだった。過去形なのは、当時はダイオキシン対策がメインだったが、今は法によるリサイクルという方向転換があったから。この辺は、将来展望をはっきりしなかった国が悪い。ダイオキシンで規制強化した国は、プラスチックを焼却できる高性能炉を導入した自治体に一部返金してやるべきだ。


法に基づいてプラスチックを回収してもダブつき、焼却炉の性能はいいのだから、結局燃やされている部分も少なくない。。。熱源となるなら無駄ではないけど。
参考:3R政策(METI/経済産業省)


ちなみに、タイトルの「ごみを資源にする努力」は、いわゆるリサイクルとエネルギー利用の両方ですが、踏み込んで3Rのうち、リデュース・リユースは大いに歓迎、リサイクルは場合により効果に検証が必要、と思う。


ごみの総量を抑制する動きもまだまだ緒についたばかり。
話は昔からあるけど、効果が出ていない、と言う意味で。


ちょっとづつ、ちょっとづつ。