いとしのヒナゴン 上/重松 清
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09/04
- メディア: 文庫
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聞いたことある気がする、と思ったら05年に映画化されてた。そういや、ヒナゴンだの、モデルのヒバゴンだの聞いた気がする。
実際に起こった「ヒバゴン」騒動がモデル。なので、土地も時代背景も、実在がモデルらしい。
物語の比奈町は、広島県庄原市西城町がモデル。合併前が広島県比婆郡西城町とのことで、ヒバはここから来ているみたい。
物語の合併舞台の備北市は、庄原市。
余談だけど、合併前(と時期的に思うが)の庄原市には、大きな公園や大学などがあって、それは隣の市のほうが大きいのに庄原市に置かれることになったのは、中央官庁とパイプが太い地元出身議員さんのお陰、と広島出身者から聞いたことがある。
いとしのヒナゴンの時代背景と全く同じ話だったので、その話を思い出した。
議員さんが全てではないだろうけど、影響がない、ということはまずないだろう。だから、議員さんはなぜか先生なのだ。
物語の一人称は、「わたし」こと石井信子、ノブ。東京からのUターン組。町役場に再就職。
主人公というか、中心がヒナゴンなので、町役場を中心に、ヒナゴンに関わる色んな人が出てくる。といっても、人間関係が近いので、世代ごとにお互い幼なじみ、という繋がりをもつ。
元の「ヒバゴン」騒動や西城町のことを良く知らないので、どこまでモデルでどこまで物語か、さっぱり区別は付かなかった。出てくる雑誌社まで文芸鳥獣社という徹底。ここは実在モデルと思われる。
結局、実在の旧西城町長は、最後まで合併に反対していたのだろうか。
町長が矢沢永吉の大ファンであったが、それは作者の趣味かな。やけに表現が熱いし、そういえば前読んだ「ビタミンF」でも出てきた気がする。
さて、上巻では、ヒバゴン推進の町長派と、反対派が合併問題を挟んで、分裂しようとするところまで描かれた。
現実をモデルとするなら、結果は見えているわけだが、登場人物に興味があるので、下巻を期待して読みたい。