夢を与える/綿矢 りさ

金原ひとみ著「蛇にピアス」と共に「蹴りたい背中」で史上最年少で芥川賞を受賞した綿矢りさ氏。
インストール、蹴りたい背中と来て、著書としては3作目。
前2作も面白かった。特に変わった表現もなく、普通に描かれているように思うのだが、つい引き込まれる。今回も同じような感覚だった。描写がさりげなくうまい、という感じか。


父フランス人、母日本人の間に生まれた夕子。赤ちゃんモデルとして始まり、長期CMも摑んでいたが、ちょっと派手に遊びすぎて、破綻するまで。
全般に応援したくなる感じだった。喜んだり、あ〜ぁとなったり、夕子の愛称”ゆ〜ちゃん”をそのままTV的な感じで応援。
一方で私生活の描写がほとんどなので、複雑な感情になっていった。


owlmanには、芸能人やら、その世界の人も、知り合いにはいない。
なのに、わりかし具体的にその世界としてイメージが描けた気がする。違和感を感じる場面があまりなかった。
これは、綿矢氏の描き方もさることながら、多分自分が持っている芸能人に対する先入観だろうな。


夕子がいわゆる芸能界に属する人であるから、芸能ニュースに取り上げられたりするのは、自然な流れかな。
TVドラマでも主人公が芸能人だったり、脇役がそうであってもいいが、報道陣がわーっと集まったり、なにやら大群で駆けつけたり、そうゆうのをTVで見たからイメージするけど、本当にそうなるんかなぁ。実際には見たことないからわからんけど。


ところで、芸能人に対する先入観、といいながら、owlmanは基本的に芸能ニュースにはあまり興味がなく、持ってる情報は新鮮ではない。
芸能ニュースというジャンル自体へのイメージが悪く、あまり好きではない。。。彼ら芸能人も仕事をしているわけだから、仕事以外が良く盛り上がる話の扱いに白ける。誰でもon、offがあるわけで伝えられる内容は吟味されるべきかと思う。そんなダダ流しに見えて、誇張、着色、お伊達、語弊とか、報道されることがどこまで真実か判断する材料もないことが多いうえ、語尾が曖昧。はっきりしない(できない)情報も重要だが、はっきりしない情報ばかりで何かを伝えようって、無茶な話だと思わなくもない。


と、散々けなすも、世間は芸能ニュースを求めている。だから、”ワイドショー”といわれる、単純に単語として見ると「何のこっちゃ?」という言葉の番組ジャンルでも多くの時間が割かれている。
そんなこんなで成り立っている芸能ニュースは色んな意味で、すごい、の一言に尽きる。
そして、芸能ニュース担当者の情報収集への努力は敬意に値する。仕事に対する執念を感じる人もいる。ジャンルがowlmanの好みではないだけだ。


もっとも、当の芸能人は、芸能ニュースをどう見ているのだろうか。
ただの宣伝媒体?また、共存関係なのか、馴れ合いなのかも興味があるな。