凍りついた香り/小川 洋子

凍りついた香り (幻冬舎文庫)

凍りついた香り (幻冬舎文庫)

開架書架にあった小川氏の本3冊から何となく選択。


調香師である彼・弘之と同棲していた涼子が、自殺した弘之の過去を辿る。


弘之は、調香師である一方、分類する、ということに非常に長けていた。
それが性に合っているらしい。


難問に対し、壊れやすいものを扱うように向かう様は、小川氏著「博士の愛した数式」に出てくる博士と同じスタイルだ。



この本は、1998年5月15日 第1刷発行。
書き下ろしとゆうことで、雑誌からの単行化やない。


ちょうど10年前の本。
日本はバブル後の不景気にまだ喘いでいた時代だったはず。
自殺者が増えていった時代やったんやなかろうか。
もっとも、今に至っても、自殺者は増え続けているとも聞くが。
読み終わって、最後に10年前の刊行と知ってから、そんな時代背景が理解の参考になるかと、もう一度巡らせて見たんやけど、あんまし世界観に変化は無かった。時代を感じさせない書き方やったんのかもしれへん。